AI・クラウド・データセンタ・半導体・原発の物語
AIは人類を救うのか
世界的に有名な歴史学者・哲学者であるユヴァル・ノア・ハラリは、その著書「ネクサス 情報の人類史」において、AIが世界を救うという意見もあるが、AIが今後人類にもたらすであろう、正負の両面の影響力の凄まじさ、広範囲さ、深刻さを余すところなく語っている。そして次のようなギリシャ神話を引用する。「パエトンが自分は太陽神ヘリオスの息子であることを知り、神聖な出自を証明したくて、太陽の戦車を操縦させてくれるようにヘリオスに乞うた。ヘリオスはパエトンに太陽の戦車を引く天馬たちを操れる人間はいないと警告した。」その結果は世界に大惨事をもたらしたというギリシャ神話を紹介している。
住宅ニーズの変化
単身世帯の増加
国立社会保障・人口問題研究所が2024年11月12日に発表した都道府県別世帯数の将来推計によれば、全世帯に占める一人暮らしの割合が今後2050年には27都道府県で40%を超えるという。
地方からも都市の賃貸住宅に人が移り住む
都市部に住む単身世帯だけでなく、地方にも配偶者を無くした高齢者の単身世帯が急増している。高齢となり車を手放すと、買い物・医療サービスも十分に受けられない。維持修繕管理費・固定資産税の負担、老後の生活資金等を考え、戸建て住宅を手放し、生活に便利な都市部の賃貸住宅に転居を考える高齢者も増加するだろう。または有料老人ホームに入居したものの、空き家となった住まいは、独立した子供たちも住む予定もなく、築年数も経過し、希望する価格ではなかなか売れない。単身世帯の増加とともに空き家の増加も連動しており、今やその数は900万戸を超えている。
少子化と地価高騰、地方の空き家対策
少子化の勢いが止まらない。最新のデータでは、2023年の出生数は、72.7万人(前年比△5.6%)合計出生率は1.20であった。2024年の出生数はさらに減少し70万人を割り込むと見られている。
国土交通省が不動産の基準地価(7月1日時点)を9月17日に発表し、住宅地、商業地等全用途の全国平均が1.4%上昇となったが、これはバブル期以降の1991年以来の33年振りとなる上昇幅である。東京、大阪、名古屋などの大都市圏の全用途が前年より1.2ポイント高い3.9%の上昇となった。2024年1月時点での全国約31万5000地点の標準宅地の平均は前年比で2.3%プラスとなり、3年連続上昇が話題となっている。
中古マンションの購入ポイント
自分の求める住環境、職場との距離、教育環境、生活利便性、広さ、築年数、地下鉄までの距離、最低戸数等の様々な要因の、物件ごとの比較検討、自分と家族のためのマンション探しは大変な労力を要する。働きながら、資料集め、比較検討、現地実査等、それに割く時間とエネルギーは決して軽くない。経済的耐用年数、管理組合の活動状況、共用部分の定期清掃と維持管理と修繕実施状況と毎月の管理費・修繕積立金との兼ね合い、坪単価等の物件価格のパフォーマンス、自己資金、返済資力、勤続年数、銀行融資、住宅ローン控除との兼ね合いなど、どこかで妥協して決断せざるを得ないのが実情である。しかし、その中で外していけないのは、流動性、すなわち売りたいときに時価で売れる物件かという換価性に尽きるであろう。
少子化・未婚化・高齢化の対応策
ローマの哲人、セネカは自身の著書「道徳についてのルキリウスへの手紙」のなかの言葉で、概略、以下のように述べている下りがある。
「・・・妄想からくる恐怖くらい壊滅的でどうしようもないものはない。苦しみを先取りして何になるのか。それが本当に来た時に苦しんでも遅くはない。将来に対する備えは必要だが、まだ見ぬ未来のために、現在を犠牲にするのもほどほどにしなくてはならない。」
また、様々な煩悩を解き放つ賢人の言葉として次のような言葉もある。
「過去を追ってはならぬ。未来を願ってはならぬ。過去は既に捨てられ、未来はまだ来ていない。」
現代人の目の前の日常には、絶え間なく、将来の不安を掻き立てるような話題に事欠かない。
心の豊かさを求めて
世界の経済開発競争は止むことなく、GDP成長率と一人当たりGDPの伸びは一国の経済政策の善し悪しを判断する主要な指標となり、戦後から一貫して、政治が追求すべき最優先の課題であり、「GDPの増大がすべての社会問題を解決する基本要素」かのごとく見做されている。GDPは一国の経済活動量の物差し、物の豊かさの物差しとしては依然有効だろうが、個人の生活実感とはかなり掛け離れている。社会生活全般に対する満足度と個人心の豊かさは一様に測れない。主に欧米との極端な政策金利差から生じた為替変動により、円安が進行する経済金融環境の中では、特に比較が困難である。長期的な視野で、社会全体と個人の心の豊かさを反映した、実感の伴う、GDPに代わる「幸福の物差し」が探し求められている。

